UNCOVERING A FAMILY SECRET

ART/CULTURE

UNCOVERING A FAMILY SECRET

マイケル・ヘイネー、インタビュー

Text: Periscope

マイケル・ヘイネーほ どPERISCOPE(パラスコープ)が信じる「人間はプリズムである」というコンセプトを体現する人もなかなかいない。アメリカ版GQの副編集長として 昼間はメンズ・スタイルをカバーしながら、週末はスタジオでペインティングに打ち込み、これまでひっそりとギャラリーなどで作品を発表してきた。そのう え、過去10年にわたり、朝の数時間を費やして自分の作品を執筆してきたのだという。その結果できたのが、最近出版された回想録<After Visiting Friends>である。このなかでマイケルは、新聞記者だった自分の父がどうやって死んだのかを知るために、手がかりを求めて、父の友人を訪ね歩いた 日々のことを振り返っている。マイケルに、このごくパーソナルなストーリーをシェアすることにした理由を聞いた。

本は6歳の時に父親が亡くなって、理由を知らされなかった、という事実に立脚していますね。
母親から、ある説明を受けていて、それは父の兄にあたる叔父から母親に伝えられたものだった。10歳くらいの頃から、その説明が理屈に通っていないと思っていた。18歳になって、父親の死亡記事を発見した父は「友達を訪ねた後に」亡くなったと書いてあった。「おかしいな。父の友達のことは聞いたことがない。あの夜、父と一緒にいたという人の話も聞かなかった」と思った。それからの友達は誰だったのか、あの夜本当に何が起きたのかを追求しようと思うまでに、ゆうに20年くらいの年月が流れた。
自分のストーリーをシェアしようと思った理由は?
とても個人的で、僕のストーリーだけど、人の心に響くと思った。誰でもこのストーリーに自分か、自分の家族を重ねあわせることができる。誰にでも家族がいて、どこの家族にも秘密がある。秘密とその答えを探し出すことに誰もが憧れる。だから、自分のストーリーが、人のインスピレーションになったり、家族が抱える秘密に対する疑問に声を与えることができると思った。そして、自分が秘密を探求することに対する恐怖感によって、家族がより近くなることもあることをを示せると思った。
何が起きたかを調べるときに、<沈黙の壁>にぶちあたりましたよね?
父の新聞時代の仲間たちは、ある規範にしたがって生きていて、そのために沈黙していた。そのうえ、僕や母親を守ろうという気持ちから動いていた。彼らには、愛情以外の気持ちはないよ。人はみな、真実が欲しいというけれど、真実を伝えるメッセンジャーになるのはまた別の話。彼らはその責任を追いたくなかったんだと思う。
この本を書くプロセスには、癒しの効果はありましたか?
この本は、父が死んで1年か2年後、まだ子供だった自分にまつわる断片的なストーリーと、その頃の回想とともに始まる。昔、こういう小さなストーリーを友人に話していたんだけれど、彼が僕に書くことを勧めてくれた。書き始めたら、(自分の思考を)明確にすることができた。自分のなかにあるものを吐き出すことで、自分を解放することができる。そしてそれをアートにする。書きつけることで、ストーリーはもはや自分を支配しなくなる。でも他者にインスピレーションや声を与えることができるようになる。
記者である自分から、自分について書くことにスイッチするのは大変でしたか?
そう、自分についてはあまり話さないから。僕のことをよく知る人には、いつも「話を逸らさないで」と言われる。子供時代から、自分のことを話すことを避けること、質問されると、相手への質問で返すことを学んだ。この本の第一稿を書き上げたとき、友人の映画プロデューサーに見せた。彼はメモをとって、すごく好きだと言ってくれたけれど、「この本にはひとつ問題がある。君がいない。父親のことは書いてあるけれど、僕が知りたいのは、君がどう感じ、どう影響を受けたかだ」と言った。頭のなかで鐘が鳴り響くような瞬間だった。誰かの許可が必要だったんだと思う。それで第一稿はしまいこんで、また最初から書き始めた。
自分のストーリーが表に出たことに、今はどんな気持ちですか?
人間の弱さは強さでもあると信じている。自分が「こう感じている」とか「これを経験した」と言えるとしたら、それが人をインスパイアしたり、癒しを与えたり、自分のことを奇人だとか、アウトサイダーだと感じることが減る助けになるかもしれない。自分は長い間そういう気持ちでいたから。たぶん「あなたは一人じゃない」と言いたかったんだと思う。
本を読んで、あなたもかつて「新聞屋」だったことがわかったけれど、ファッションについて書くようになると思っていた?
考えたこともなかった。GQに行ったのは、彼らの記事やジャーナリズムのやり方が好きだったから。スタイル、ファッション、アート、クリエイティビティという分野においてはベストだし、クリエイティブなものが世界に生み出される様子を見れるということに引きつけられた。何かを作っている人、モノがどうやって作られるのかに興味がある。でもスタイルはいつも好きだった。大学時代には紳士服を売るという仕事もした。子供時代だって、何を着るかにこだわりがあったし、自分がどう見えるのかが頭にあった。見栄を張るという意味ではなくて。父親が死んでから、うちにはあまりお金がなかった。兄のお古をよく着ていたんだけど、どうやって自分が好むふうに変えられるかをいつも考えていた。
ファッション人だと思われているけれど、それはほんの一部ですね。
これまで僕にインスピレーションを与えてくれた人は型にはまらない人たち。ウォルト・ウィットマンは、新聞の編集をやりながら詩を書いた。フランク・オハラは、美術館のキュレーターを務めながら詩を書いた。ロバート・マザーウェルは評論家だったけれど、画家になった。何をやりたくなっても、それを実現するといつも思ってきた。それでもしかしたら人にインスピレーションを与えられるかもしれない。自分を型にはめたくはないんだ。

Links

After Visiting Friends
http://www.aftervisitingfriends.com/
Tags:
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  • #Michael Hainey
  • #GQ

03.06.2013

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