STYLE/DESIGN

ENGINEERED GARMENTS ON THE RUNWAY

鈴木大器インタビュー

Video: Managu Gaku Inada / Photos: Yoshiyuki Matsumura / Interview: PERISCOPE

Engineered Garmentsが7月に、NYで初のランウェイショーを開催したということを聞いて、意外に思った向きも多いに違いない。過去10年にわたり、イタリアのピッティ・ウォモでコレクションを発表してきたブランドが、なぜ今ランウェイなのか? デザイナーの鈴木大器氏に、ランウェイショーについて、またメイド・インUSAのブームについて聞いた(上の写真をクリックして、ショーのビデオをご覧いただけます)。

今回、ランウェイのショーをやろうと思ったきっかけは?
10年間ピッティに行って、去年で最後にしました。ピッティに行き始めた当初は、うまくいくかもわからなかったけど、はったりでやったら10年やり続けるということを豪語していた。一発目はショックを受けて帰ってきたけど、2、3シーズン目からよくなって、それ以来、ずっと行ってきたんですね。でも今のピッティはまるきり違うものになってしまった。はたと気がついたとき、このままいていいのか、ルーティン化すると新鮮味がないと思った。もともとカジュアルなものがないショーだから浮いていたのに、みんなそういう感じになってしまったから。このままいると、埋もれていくような気がしたから、外れるいいタイミングかなと。次になにをやろうかと思ったときに、パリやベルリンで見せるとか、ウィメンズを強化するとかいろいろ考えたけど、新しいチャレンジとしてショーをやってもいいと思ったんですね。たまたま店を見ているときに、何かのきっかけで店でやれるって気がついた。プレスや宣伝のためのショーじゃなくて、手作りのショーを、買ってくれるバイヤーのために、小規模にやればうちらしいかなって。昔、「ランウェイ」という言葉が登場する前、「フロアショー」っていうのがあった。モデルが顧客の前でフロアを歩くというスタイルのものがあったんです。そういうショーをイメージしました。
ショーをやるにあたってテーマを設定したのでしょうか?
テーマは毎回ないけれど、いつもやってるEGのスタイルがあって、そこにちょっとした遊び気がある記号を入れている。それが今回は1968年。アメリカには反戦ムードがあるなか、ビートニクスの名残やヒッピーがあって、対岸のヨーロッパにはサイケデリックとグラムロックが出てきていて、混沌とした時代だった。その柄柄のムードを出しました。
「MADE IN NEW YORK」をタグに入れ始めたのはいつからでしたか?
最初から。日本向けにしかやっていなかった99年のときから「MADE IN NEW YORK」は入れていました。でも誰も「MADE IN NEW YORK」という言い方は使っていなかったと思います。
今となっては服だけに限らず大きなムーブメントになっていて、すごい先見の明ですよね?
たまたま運がよかったというか、そういう波に乗っかっちゃった。別に当時は大それたことだとは思いませんでした。作ろうと思った洋服が、見た目は普通なんだけど、実はものすごい微妙なところが良し悪しを決定するような洋服だから、近場で気をつけて作ってみたいなというのがあったから、ローカルが一番いいと思った。コストが余計にかかっても近くですぐ見て、工場の人間たちともコミュニケーションとって、特別な関係みたいのを作っていく。みんなで一緒に作っていくっていう雰囲気が好きだったっていうのがあるかな。  
ヘリテージや「MADE IN USA」をやるブランドが増えすぎて、希薄になってしまっている気がします。
今やもう誰もがやっているから全然ありがたみがなくなりましたよね。アメリカ製だからいい、でもデザインとかモノ自体はいったいどうなの?とは思う。どこで作っているかが重要なのではなくて、先にまずモノが大切。「アメリカで作ってりゃ何でもいいのかい?」みたいな感じになっちゃって、「そうじゃねえだろう」と。
アメリカのものに惹かれてアメリカにやってきた鈴木さんとしては、アメリカ製の何がよかったんでしょう?
自分が10代、20代は、アメリカ製ならなんでもよかった。舶来至上主義という風潮があったし、憧れてました。自分の体以外は全部アメリカ製だったくらいです。来た瞬間に、憧れは崩れたけどね。僕にとってアメリカ製の良さっていうのは、国の印象と同じでわかりづらいこと。デニムだって、素材や技術がいいわけじゃない。色は落ちるし、ボタンは閉めづらいし、でも1年着ると自分のものになる。エルメスだったら、買った瞬間から、着心地がいい。でもその価値が逆転している感じが自分にはいいのだと思います。それは他の場所ではできないこと。この国の人間、この国の空気だからできることなんだと思っています。
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08.20.2013

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