DEBUNKING MYTHS ABOUT DRUG DEALERS

ART/CULTURE

DEBUNKING MYTHS ABOUT DRUG DEALERS

ドラッグ・ディーラーのインタビュー集

Interview: Periscope / Translation: Junki Ikeda

ドラッグ・ディーラーという職業は、今も昔も、カルチャーにおいては多大なるインスピレーションの源になってきたが、ディーラー本人の口から物語が語られることはなかなかない。この秋、”Word on the Street New York” というブログを通じて、ニューヨークのストリートで暮らすパンハンドラー(物乞い)をインタビューしてきたピーター・マドゼンが、現役ドラッグ・ディーラーへのインタビュー集を発表する。メディア関係の仕事に就くためにニューヨークに移り住んだものの、リストラにあって仕事を失い、その後は、バイク・メッセンジャーとして働きながらブログを続けてきた。そして、彼の一風変わったインタビュースタイルがpowerHouseの目に止まり、ディーラーを題材にした本を出版するに至ったという。

NYに移り、1年後にメディアの仕事からリストラされて、それでブログを始めた?
もともと、一緒に仕事したいと思う人がたくさんいて、そのひとりがギャビン・マクルネスだったから、Street Carnageへネタを売り込むようになった。当時、自分がライターとして何を提供できるかを考えていて、自分はイケてるヒップスター系のライターにはなれないと思った。路上に暮らす人とのインタビューをひとつやったら、ギャビンがインタビューを続けるべきだと応援してくれた。こうして "Word on the Street" をやること、そして対象はパンハンドラー(物乞い)にしようと決めた。これまで250人にインタビューしたけれど、彼らと会話をする行為をとても気に入っている。彼らの多くはとても率直で、僕らのようにインターネットについて心配していないから、自分たちにフィルターをかけることがない。「このまま続けていけば、最終的には本になるほどの素材になる」とギャビンに言われた。一緒に仕事をしたいと感じていた人に、本を作れると言われ、それがインスピレーションになった。そこからサイトを作り、新しいインタビューを毎週末アップする、という作業を何年か続けた。
バイク・メッセンジャーとして働きながら?
そう。小包や封書、法的な書類を配達しながら。時間ができるとインタビューにでかけ、パンハンドラーに10ドルわたしてインタビューをするようになった。
どうやって10ドルという金額を決めたの?毎回10ドルで、250回のインタビューとなるとけっこうな金額になるけれど。
繰り返しインタビューを受けてくれた人には20ドル払ったこともある。感謝されているという気持ちになってほしかったし、僕と時間を過ごしてくれることに報酬を払いたかった。
それから、ディーラーをインタビューするというプロジェクトを始めたと。
大学時代から、ドラッグ・ディーラーやドラッグ売買に関する本に多くの影響を受けた。ヒューバート・セルビー・ジュニアの  "Last Exit to Brooklyn"(邦題:ブルックリン最終出口)" や "Requiem for a Dream" (邦題:夢へのレクイエム)が特に好きで、とにかく魅せられている。ビートに関することや、1940年代のタイムズスクエアのような時代には特に惹かれる。法を順守する社会に比べて、犯罪を犯すことが人をよりリアルにするとは思わないけれど、こういう物語が、アイオワの農場で育った子供にとっては、とにかくエキサイティングだったんだ。
こういう世界とは真逆の環境で育った?
僕の高校のある小さな街には暴力とドラッグが横行していたけどね。今もメス(メタンフェタミン)はアイオワ州でも大きな問題だし。
インタビューを本にまとめるための了承をドラッグ・ディーラーに得るのは難しかったのでは?
びっくりするくらい簡単だった。もちろん違法なドラッグ売買をやっているわけだから、ディーラーたちには秘密主義なところはあるけれど、アートを作るアーティストのように、理解されたいとか、自分を表現したいという気持ちはある。写真では顔がわからないようにして、名前を変えた。インタビューのトランスクリプトをわたして、人物を特定できるようなところがあれば削除できると伝えた。彼らにとっても承諾しやすい条件だったと思う。多くの人がすぐに承諾してくれてうれしかった。何人かには断られたけど、それも理解できる。
本を作るうえで、どんな瞬間が思い出に残っている?
アレックスとの会話は本当に楽しかった。 "Word on the Street" でも何度かインタビューしたけれど、ものすごく知性が高い。何年かホームレス生活を送っていて、だいたい14丁目にいる。彼の経験談をDealersで伝えることができてよかった。今、アレックスはメタドン(ヘロインの治療薬)を服用していて、より前向きな人生を生きようとしてるんだけど、誇らしい気持ちだ。表紙を担当してくれたアーティストのクリスティ・カラカスに、アレックスがよく使う「Momma said there'll be days like this(ママはこんな日がくるって言ってた)」というタグを入れてもらったんだけど、それは彼に対するジェスチャーでもあった。
さっきドラッグディールとアートを比較したけれど、ドラッグディールにアート性が存在すると思う?
ディーラーの自己表現したいという気持ち、理解されたいという気持ちを、アーティストのそれと比べたんだ。でもドラッグ・ディーラーの世界観には独特のものがある。本に登場するサブジェクトは、自転車で草を運んだり、足で歩き回ったりするけれど、誰が私服警官か、強盗しようと待ち構えているやつがいるか、神経を尖らせて、常に目を光らせている。車、車のモデル、どう駐車されているかといったことまで見ているし、クライアントを自宅に訪ねるときだって、より親密な環境で、同じように神経を尖らせている。 「犯罪は、他のどの商売よりも、ヒューマニティの多様性を見せてくれる」というリュック・サンテの言葉がある。そしてこの本で取り扱われている多くの題材が、ディーラーたちのことを正当に表現するのに役立っているはずだ。
この本を作ったことで学んだことは?
エンパシー(同情・共感する気持ち)、それからマリファナのような麻薬を合法化する必要性。これまで、麻薬の違法取引がどれだけの利益を生み出せて、どれだけの税収につながるかを示せるのは、違法に取引している人たちだけだった。最近、ニューヨーク市の監査官がニューヨークのマリファナ市場は15億ドルの市場価値があると見積もっていた。税金をかければいい。合法にして税金を取って、行き詰まってる公共の学校制度の資金にすればいい。
次のプロジェクトは?
"Word on the Street" を本として出版したい。それから、自転車でマリファナを運び、犯罪の世界を生きるキャラクターを主人公に「きみならどうする」方式の本を作っている。この作品に出版社が見つかるといいと思うよ。
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10.23.2013

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