ART/CULTURE
ベン・フィノ・ラディン インタビュー
アーティストたちとの会話のなかで、幾度となく話題にあがるのが、アート評論家のデイブ・ヒッキーが言うところの「利用価値のある過去」を活用することの重要性だ。創作における基本的な考え方として、自らの作品を未知の領域へと高めていくプロセスのなかで、アーティストは過去に登場した形態やオブジェクトを、頼れる仲間として、または現在抱える問題に対処するためのツールとして、すぐに調べたり、参照したり、使用(もしくは流用)できるものとして考えてきた。けれども、多くのアーティストは今、ジレンマに直面している。時代の流れのなかでアートが古くなることを認めないのもひとつだけれど、デジタル素材を扱うアーティストたちは、テクノロジーの進歩ととも、自分たちの作品を支えるプログラムやプラットフォームがいずれ使用不可能になるという状況に対応しなければならない。
こうした問題に対応するため、ここ数年の間に、テクノロジーをベースにした芸術やデザイン作品へのオープンで恒久的なアクセスの確立に取り組むコミュニティが、小さいながらも現れるようになった。急速に広まりつつあるこの世界のなかで注目を集めているのがニューヨークを拠点に活動するベン・フィノ・ラディンだ。自称“メディア考古学者、アーキベスト、デジタルベースのコンテンポラリーアート作品の保存管理者”である彼は、ここ数年、MoMAでデジタル保存システムの開発に取り組み、昨年9月にMoMAのフルタイム職員になるまでは、デジタル・アーカイブの<ライゾム(Rhizome)>で仕事をしていた。Periscopeは
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