ART/CULTURE

A House in Harmony

マフィー・ブラント インタビュー

Videography and Photography: Muffy Brandt

ロードアイランド州のプロビデンスは、小さい大学街でありながら、ロードアイランド・スクール・オブ・デザインやブラウン大学があることから、ニューヨークのクリエイティブシーンに影響を及ぼす勢いで才能を輩出し続けている。そんなプロビデンスから生まれた女性だけのコレクティブ〈ダート・パレス〉の一員でもあるマフィー・ブラントは、写真やビデオに彫刻や絵画を融合させた独自のストーリーテリングに加え、ダンスや振り付け、コメディ、音楽、ジュエリー・デザインといった幅広いジャンルで活動する、まさにプリズムのようなアーティストである。そのマフィーが、最近作ったビデオ作品〈A House In Harmony〉は、何百といるオウムとともに暮らす家族を通じて、普遍的な家族の意味を問いかける作品になっている。マフィーに〈A House In Harmony〉について聞いた。(映像は、マフィー・ブラントによるアート作品のため、字幕なしでお楽しみください)

この家族と出会ったきっかけは?
   何年か前、メイン州の中部で一夏を過ごし、友人から、隣家でのBBQパーティに招待された。「庭にいろんなものが置いてあって、カラフルな家だから、見過ごすはずはない」と言われて出かけたら、友人は、もうすでに帰ったあとで、ハワイアンシャツを着た年配の女性がたくさんいて、マルガリータを振る舞われた。みんなとても頭がよくて、おもしろかった。「鳥がいるって聞いたんだけど」というと、大爆笑が起きて、家のなかに連れて行かれた。家中にオウムがたくさんいて、どの部屋にもオウムがいた。それがフリッツとマーグ・ブッシュマンの家だった。翌年、メインで学校に行くことになって、ブッシュマン夫妻に連絡した。その1年の間に、フリッツが、ひどい鳥アレルギーにかかったから、家を倍の広さに改築して、オウム専門のエリアができていた。前の年には、オウムがそこら中にいたけれど、1年後には、美しい家ができあがっていて、キッチンの隣のエリアが鳥の解放区のようになっていた。それで、2ヶ月半にわたり、週に2、3回、ブッシュマン家を訪れて、彼らの様子を記録するようになった。
彼らはどうやってオウムや動物たちの世話をするようになったのでしょう?
   大学を卒業して、都市部のアパートに住んでいたけれど、友人を訪ねて毎週末いなかのほうに行くうちに、自分たちもいなかに住もうと決めて、家と広大な土地を購入した。そのうち、いらなくなった動物を、彼らの土地においていく人たちがあらわれて、それで動物の世話をするうちに、自分たちが育てたい動物を飼うようになった。子供が2人いて、息子とその娘が一緒に暮らしているから、今は、3世代が、動物たちと一緒に暮らしている。犬と猫が3匹ずつ、鶏が30羽、羊もいるし、ラマもいる。夫婦はフルタイムの仕事をしているうえに、それ以外の時間はずっと動物の世話をしている。オウムは、50〜90年もの間生きる。だから、先立ったり、面倒を見切れなくなった飼い主のやり方をまだ覚えていて、ブッシュマン夫婦は、オウムたちの習慣を維持するためにものすごい努力をしている。たとえば、たくさん遊ぶことに慣れているオウムがいれば、たくさん遊んであげる。人と会話をすることに慣れているオウムなら、会話をしてあげる。オウム同士の関係性も浮かび上がってくる。つがいになったある2羽のオウムのカップルがいるんだけど、オスの前の飼い主は年配の女性で、メスの前の飼い主は年配の男性だった。それぞれ飼い主の話し方を真似るものだから、メスは年配の男性のように話すし、オスは年配の女性のように話す。年配のカップルが話しているのが聞こえると思ったら、オウムのカップルなの。ブッシュマン一家は、オウムたちに無限の楽しみを感じていて、すべてのオウムたちをこよなく愛している。
これだけの動物とオウムの面倒を見るのは大変だと思うのですが、何に突き動かされているのでしょう?
   マーグの母親によると、マーグが鳥たちの世話を始めるまで、彼女がそれだけの情熱を何かに注ぐことはなかった。興味深いのは、マーグはバランスのとれた生活を送っていて、友達も多いし、ダンスのクラスを受講したり、とても社交的。必ずしも、鳥に対する愛情の注ぎ方に共感が持てるとはいえないけれど、自分の情熱をコントロールできない気持ちには共感が持てる。
アーティストとして、何が一番のインスピレーションでしたか?
   人間にはときとしてどうしてもやらずにおれないことがあって、それは必ずしも、他人が理解できることではないかもしれないけれど、それに多大なるエネルギーを投資する情熱をもつことがある。自分にも、それだけの情熱を抱く対象があって、その情熱を理解できない人とは共有できないかもしれないけれど、だからといって実行しないと悲しくなる。そこに共感できたことが大きかった。
あなたの家族観はどのように影響を受けましたか?
   この家族の関係性はとても興味深かった。子供たちは、まだどう人生を送っていくかを決めるプロセスの真っ最中で、でも、ブッシュマン夫妻は、子供たちにも飽くなき愛情とサポートを与えている。私のことも、家族のように受け入れてくれた。私が撮影のために定期的に訪問していたときには、私のためにベッドを買ってくれたくらい。私が育ったピッツバーグでは、近所づきあいはとても形式張っていて、幼少時代、ずっと付き合いが続いていたような人たちと一緒にいても、ブッシュマン夫婦に与えられたほどの歓迎を受けたことは一度もなかった。オウムたちのために作った増築部にかかったお金は、祖母が、遺産として残すよりも、子供の情熱をサポートしたいといって、資金を提供したことで実現した。家族のメンバーがやることに対して、口を挟むことなく、選んだ道をサポートできるという家族の姿は美しかった。家族は、お互いにプレッシャーを与え合ってしまうことがよくあるから。ブッシュマン家ほど、お互いをあるがままに受け入れる、ということがここまでできている家族にはあとにも先にも会ったことがない。
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07.05.2015

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