M.A.K.U. Soundsystem

MUSIC

M.A.K.U. Soundsystem

フォークロアと革新が出会うところ

“Out beyond the ideas of wrongdoing and rightdoing, there is a field.
I will meet you there.
When the soul lies down in that grass, the world is too full to talk about ideas, language, and even the phrase, “each other” doesn’t make any sense.”
– Rumi

地球上でコロンビアと呼ばれる場所は、クンビア音楽で欠かせないリャマドールの絶え間ないビートのように、今日のこの世でもっとも活気に満 ち、いきいきとしたポジティブなダンス・ミュージックを量産しているように思える。特にここ数年、豊かな音源の中からコロンビアの上質な宝石を掘り起こし たSoundwayのようなレーベルから、本来だったら民族音楽家や博物館が行うような学術レベルの音源を再リリースする動きが生まれている。ディプロが クンビアのバックビートを発掘し、ゲコ・ジョーンズやアップルート・アンディあたりが、伝統的な音楽スタイルやクンビア、ガイタ、チャンペータといった楽 器をTR-808にのせてひねりを効かせて作る音が鳴り響くようなパーティが世界中で登場している。そしてUK生まれのミュージシャン、DJ、音楽プロ デューサーであるクァンティックことウィル・ホランドは、コロンビアに夢中になったあまり、今ではカリにベースをおき、急ピッチでキュレーション、レコー ディング、リリース、再発売と忙しく、フルーコ、アニーバル・ベラスケス、ミチ・サルミエント、アルフレディト・リナレス、ウィルソン・ヴィヴェロスと いったコロンビア音楽界の偉人たち、フレンテ・クンビエロのような若手ミュージシャンとのコラボレーションを進めており、またその若手のミュージシャンた ちが、伝説的なレゲエ・ダブマスターであるマッドプロフェッサーによって再解釈されるという動きが生まれている。

コロンビア音楽は、ひとつの広大で、入り組み、そして相互につながりあった音楽的なエコシステムの中に存在するカルチャーとサブカルチャー のいくつもの景色を超えて流れてきた長く曲がりくねった川のようなものだ。先週、ひとつの支流のなかに身をおく機会に恵まれた。ブルックリンのクラウンハ イツで、ニューヨークをベースに活動するコロンビアスタイルのバンドM.A.K.U. Soundsystemのメンバー8人のうち4人と会って、聴き手を引き込み不思議な気持ちにさせてくれる彼らの音楽について語り合った時のことだ。 M.A.K.U. Soundsystemはコロンビアから移住してニューヨークに住むメンバーによって2009年~2010年の間に結成された。短い間に、「Vamos Bien」(2010年)と「MAKUMBALA」(2011年)という2枚のレコードを独自にリリースし、ピッチを緩めることなく、2012年夏に向け た作品のレコーディングに取り組んでいた。彼らのライブは、ダンサブルなリズムとサイケデリックなダブの渦巻く谷をドライブするような濃密な体験だ。エレ キギター、ベース、ドラムセット、パーカッション、シンセサイザー、ホーンセクションといったファンクロックバンドにお決まりの楽器はもちろんだが、そこ には一貫した存在感を持ち、鼓膜に響いてくるもうひとつ別のエレメントがある。それは何とも言いがたく、捉えがたいもので、聴き慣れたかと思うと、突然そ こから滑り出てまた違う形へと姿を変えていく。2011年の終わりにブルックリン・ボウルの楽屋でM.A.K.U. Soundsystemに会い、彼らがコロンビアのミュージシャンを中心に結成されたと分かった時、正直なところ、コロンビア音楽の伝統をベースとして受 け継いだ音を聴くことを期待していたし、実際にそんな音が聴こえてきた。けれどもその夜、さらにステージから聴こえてきたのは、どんなジャンルとも言いが たいものだった。それこそが彼らが求めているスタイルなのだ。

M.A.K.U.という名前は、コロンビア南部に暮らすアマゾンの遊牧民であるヌカク・マクーという部族からきている。彼らは突如として荒 野から出て来て文明社会で暮らしたいと表明した。近代化という概念を持たずして、彼らは所有、貨幣、政府という枠組みを突然受け入れることになり、またコ ロンビア当局からもその存在を公式に認められておらず、つまり逆説的に実在しない存在として見なされていた。このパラドックスがギターのカミロ・ロドリゲ スに強い印象を与え、カミロはその苦境を心に刻んで、数年後、コロンビアからニューヨークに道を切り開こうと移住してきた仲間たちと自分の居場所となった 音楽グループにその名前をつけた。“マクという言葉は社会の底辺にいる人たちを表している。世界的な問題として、移民というものは一定の見方をされ、たい がいお荷物として見下され、その国の文化に溶け込み一体化する価値などないように見られている”。バンドの名前にあるSoundsystemというのは、 カリブ海の沿岸都市バランキヤ周辺で人気の“ピコ”というサウンドシステムからきている。巨大スピーカーがターンテーブルにつながれ、にぎやかなパー ティーが始まる。時にはトラックに載せて移動式のパーティーとなり、ダンスホール、クンビア、チャンペータ、スクース、カリプソ、さらにはアフロビードの リズムとグルーヴが入り混じった音が響き渡る。要するにひとつの大きなパーティーだ。つまり、M.A.K.U. + Soundsystem=人民のためのパーティーということになる。ピコは地元コミュニティとのつながりが強いため、コミュニティの中で培われた雰囲気が あり、毎日、住民が集まっては踊り、心地良くなるような場所を提供している。

M.A.K.U. Soundsystemのベースとボーカルを担当するホアン・オスピーナにとって、コロンビアン・フォルクロアをベースにして現代のパンク/ファンク /ロックの要素を加えたダンスミュージックを演奏するM.A.K.U. バンドとしての基盤があることは、“自分たちの経験を共有することができる。人生で困難にぶち当たった時にどうやってポジティブなメッセージとして物事を 捉えるのか。音楽は自由を感じる手段であり、その感情を共有するためにある。例えそれが1時間のライブを聴き、ステージからその空間を共有するだけでも。 僕らは、たとえば移民問題のように、国境や境界ということを常に思い出させられている。音楽は精神的な、スピリチュアルな境界から自由になれるという感覚 を僕らに持たせてくれる”のだ。

バンド全体のビジョンの中には、コロンビアのフォーク音楽からの明らかな影響が見て取れる。パーカッションとボーカルのリリアーナ・コンデ は、メンバーがニューヨークでの経験を通して洗練されてきたように、M.A.K.U. Soundsystemには“発見のプロセス”があるという。バンドで演奏していると、子供のころ彼女がコロンビアで学んだ伝統的なリズムの記憶がよみが えることがあり、この曲に合うかもしれないとリズムをのせてみるといった実験ができ、思いがけない結果に出合えるという。

M.A.K.U. Soundsystemの音楽におけるフォークロアや伝統的な要素の重要性を考える時に大切なポイントは、そのルーツにおいても革新が伝統の不可欠な要素 となっている点である。70年代のファンク、ロック、アフロビートがコロンビアで熱狂的な聴衆を生み、こうして持ち込まれた要素が互いに混ざり合いミック スされた。有名なアフロビートの生みの親であるフェラ・クティの“Black Man’s Cry”にも有名なコロンビアバージョンがあり、クンビアのリズムをベースにアフリカの影響を感じさせるモデルナ・デ・ソレダードの “Shacalao”という曲となった。M.A.K.U. Soundsystemを結成する前、ギターのカミロ・ロドリゲスは伝統的なコロンビア音楽を演奏していたが、70年代以降、こうした影響を受けるように なった。伝統に深く根を下ろしながら、M.A.K.U.のメンバーとして少しずつ自由になったのだ。ドラムのアンドレス・ヒメネスが、自身のコロンビアの ルーツを今のニューヨークでの生活の中で表現したいと思ったのはより意図的な決断だった。おそらく音楽が持ついやしのパワーが彼にそうさせ、そうすること で“境界など存在しえない2つの故郷を持つ感覚”を彼は得ることができたのかもしれない。つまり、M.A.K.U.のメンバーはコロンビアから離れたとい うわけではなく、ニューヨークにきて、その世界は広がりを見せ、そこで出会うことになったわけだ。共通のビジョンを持って気の合う仲間として海外に渡った 移民たちなのだ。

そして今、これまでになく、M.A.K.U. Soundsystemは彼らの音楽を次のレベルへと発展させる段階にいる。アンドレスは、素晴らしいドラムの伝統を学べば学ぶほど、素晴らしい伝統的な ドラマーたちが既定のパターンを超えた世界に行き着くことに気づかされると教えてくれた。今やメンバーそれぞれのバックグラウンドの持つカラーや影響力が 染み込んだグループは、コロンビア音楽の伝統を代表するという責任を担っているわけではなく、自由に創造することで彼ら独自の表現方法を持ち始めている。 しかし、彼らは伝統への尊敬と敬意を持ち、謙虚な姿勢を忘れず学び続けている。バンドの本質をうまく例えるならば、クンビアのメイン楽器であるドラム、 リャマドールをあげることができるだろう。リャマドールは翻訳すると、“the caller(呼び手)”を意味する。世界のどこかでクンビアが聴こえてきたら、いつも音楽の真ん中にはそのドラムの音が聴こえるだろう。最初から最後ま でアップビートを叩き続ける。即興演奏はなし。アピールタイムもなし。奏者はビートを刻み続けるだけ。ホアン・オスピーナが“リャマドールを演奏できるこ とで、自分が謙虚になる”と付け加えた。

Band members present during this interview:
Camilo Rodriguez
Andres Jimenez
Liliana Conde
Juan Ospina

And band members not present include:
Robert Stringer (trombone)
Carlos Felipe Quiroz (Synth)

  • "Canto Negro": SXSW 2012
  • Soundway’s Musical Map of Colombia

Links

"Canto Negro": SXSW 2012
Soundway’s Musical Map of Colombia
http://www.soundwayrecords.com/soundways-musical-map-of-colombia
A picó session in the 80's
Afrobeat Colombian style from 1975
Funk Colombian style 1976 Wganda Kenya
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11.08.2012

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